奈良県桜井市の無職、有本匠吾被告(23)は、去年8月、在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区の倉庫に火をつけて住宅など7棟を全半焼させ、放火や器物損壊などの罪に問われており、8月30日に懲役4年の判決が言い渡されました。
ウトロ地区の場所や歴史について紹介していきます。
ウトロ地区は京都府宇治市に存在
ウトロ地区はもともと、『宇土口』という地名でしたが、漢字の『口(くち)』が、カタカナの『ロ』に見えることから、いつしか『ウトロ』と呼ばれるようになったと言われています。
地区の隣に接する陸上自衛隊・大久保駐屯地のあるところには、太平洋戦争が始まる前の1940年ごろ、旧日本軍の飛行場が建設されていて、周辺には多くの労働者とその家族が暮らしていたそうです。
労働者の中には、当時日本の植民地だった朝鮮半島から来た人が多くいて、一部は、戦争が終わっても行き場のないままこの地にとどまります。
ウトロ放火事件とは

奈良県桜井市の無職、有本匠吾被告(23)は、去年8月、在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区の倉庫に火をつけて住宅など7棟を全半焼させたほか、その前月には、名古屋市の民団=在日本大韓民国民団や韓国学校の建物の一部に火をつけたとして、放火や器物損壊などの罪に問われました。
ウトロ地区の倉庫の火事では、地区の歴史を伝えようとこの春、開館した平和祈念館に展示予定だった資料など50点も焼失しました。
裁判で被告は「韓国人に敵対感情があった。展示品を使えなくすることで、祈念館の開館を阻止するねらいがあった」などと述べていました。
30日の判決で、京都地方裁判所の増田啓祐裁判長は「在日韓国朝鮮人という特定の出自を持つ人々に対する偏見や嫌悪感による身勝手で独善的な動機から、暴力的な手法で不安をあおった犯行で、民主主義社会において、到底、許容できない」と指摘しました。
そのうえで「重大な結果を生じさせた刑事責任はかなり重く、反省が深まっているようにはうかがえない」として、求刑どおり懲役4年を言い渡しました。
”ニュース記事引用”
犯行動機はヘイトクライム
有本被告の犯行動機・供述

韓国人に対して敵対感情があった。
放火し展示品を焼失させることで平和祈念館の開館を阻止するねらいもあった。
コロナ禍による離職もあり事件を起こすためらいもなかった。
放火事件を起こすことでヤフコメをヒートアップさせ在日韓国・朝鮮人の問題に警鐘をならしたかった。



後悔はないが間違ったことだと思う。
被害者に謝罪したい。
自分のように戦争被害者であるとの理由で支援を受けている人に差別感情をもつ人間はいっぱいいる。
放火は個人的な感情に基づくものではない。
私に死刑判決を出そうが一個人の差別感情が原因であると総括するならまた同じ事件が起こる。
ヘイトクライムとは


ヘイトクライムとは、特定の人種や肌の色、宗教、民族・国籍、性別、年齢、障害、性的指向のアイデンティについての偏見(バイアス)・否定的な感情にもとづく、嫌がらせや誹謗中傷、脅迫、暴行などの犯罪のことを指します。
有本被告は、『住民が不法占拠している』と主張していたそうですが、なぜ犯行に至らせるまでの動機に繋がったのかよくわかりません。
ただ、コロナ禍で辞職に追い込まれ孤立してしまった感情を何かの責任にしたかったのかもしれませんね。
しかし、放火という犯罪を犯した罪は裁かれないといけません。
まとめ
戦時中の1940年代、日本政府が進めた「京都飛行場」建設のために、朝鮮半島出身者が雇われたそうです。
終戦で建設は頓挫し、行き場を失った労働者とその家族たちはウトロ地区に住み続け、約30年前には、土地の所有者が住民らに立ち退きを求めて裁判になり、立ち退きを拒否した住民たちは敗訴したが、韓国政府や日本の支援者らが土地を買い取り、今も約50世帯、100人の在日コリアンが暮らしています。
歴史的な背景を考えると、戦争が社会に与える影響はいつになっても消えないのかもしれませんね。
一見平和に見える日本も、決して平和ではないのかもと思えてきます。
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